金澤敏明氏の力戦に誘導された対局データ
《戦法/いつまで定跡手順であったか/勝負の因果関係》に続く。
このデータから垣間見える中で、更に不明な点もいくつかある。
例えば5のところ。
金澤敏明氏が定跡を外れ、結果澤村明憲氏が負けたというデータが多かったのだ。これが意味するものは、少なくとも有段者レベルになってくると、定跡を外れた全員が確実に咎めるという事を示している可能性があるということ。
明らかなのは2と3で、振り飛車が定跡を外した瞬間に、居飛車が互角から一気に有利なところまで持ち込まれている点。
6などはセオリーで考えるところの定跡手だけでフィニッシュまで持ち込んだといったニュアンスで、咎めた順もセオリーももはやそのまま。
しんどい将棋を指しながら「これからの角換わり腰掛け銀」を身につけた成果が報われた瞬間でもある。
7のときの対戦では、おそらく対局者の方は金井氏。
指し手の脈絡が若干荒く感じられる。これは、金井氏が候補の手を適当に選んでいるためにこのような結果になっていると推測。
金澤敏明氏の随所でのつぶしが際立っているのが分かる。
こうなると、早い段階で定跡を外れる力戦系ではどういう結果になるのか疑問が浮かぶ。
そのため力戦になったときの対局もデータから調査してみた。
※金澤敏明氏は自ら力戦にさせるようなことはほとんどないので、あんまりサンプルがなかったが、相手から力戦に誘導された対局データを少しだけ見つけたので引用してみる。
11,初手▲94歩からの力戦/先手が力戦へと巧みに局面を運ぶ。結果先手金澤敏明氏の負け
12,相掛かりと横歩取りが混在するような巧みな力戦/後手が力戦に導き、結果後手金澤敏明氏の負け
13,角換わりの力戦/結果先手金澤敏明氏の負け
14,5筋交換型の急戦矢倉の変則型のような力戦/先手が力戦に誘導、結果先手金澤敏明氏の負け
数少ない負け将棋の中でも、これが弱点といってもいいぐらい、圧倒的に負けているのが、この力戦に誘導したパターンである。
11の対局では30手目あたりで伊藤流にほぼ重なる。
だがこの段階では後手は攻撃形も玉形も万全の体制。
もしかすればこのような戦術もあって、このときの対局者の方にとっては定跡形だったのかもしれない。
12,は、結果として力戦へ運んだ側が負けとなっているが、序中盤はむしろ力戦に運んだ方が少しまともに見えていた。
けっきょく勝敗を喫したのは終盤だったはずなので、このデータのサンプルとしてはあまり適切な対局ではない。
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