伊藤流川越会報より金澤敏明の棋風を学ぶ。

伊藤流川越会報より金澤敏明の棋風を学ぶ。

 

この秋、金澤敏明が自らの棋風と戦術を書籍に書きおこしたとのことで、その一部を伝で掲載することを許可いただいたので一部紹介する。

 

内容は、「四間飛車破り」「居飛車穴熊編」と最近の金澤敏明の対局によく登場する戦法論である。

 

冒頭に書かれている言葉が印象深い。
「私が近年勉強していたのが、穴熊で戦う対四間飛車戦でした。なぜ、まだ手つかずの角換わりや対田中流の対策を考えるよりも、わざわざ急戦定跡をひと通り勉強した対四間飛車の方法論を繰り返したかというと、シンプルに四間飛車扱いの方と対局する機会が多く、その戦績が芳しくなかったためです。対四間飛車の対策については、今年の前半に急戦定跡を大方考えました。その努力の甲斐あってか連敗も止まり親善対局等での勝率をあげることにも繋がっているかと思われます。我々学生将棋あがりの新参者がこの将棋界で大人たちと渡り合うには並々ならぬ努力が必要と考えています。この書籍にて、その一部だけでも皆様へお伝えできれば光栄に存じます。」

 

内容はこのようにはじまり、その後、下記のように続いていく。
年12回の親善試合。勝てない時期がくるたび、反省と対抗策を講じてきました。
負けと一言で言っても将棋には様々な負け方があります。
惜敗。惨敗。悔負。

 

中盤の捻じり合いに負けて敗戦なら納得できるのですが、捌き合いになってしまうと、駒の損得なしでも船囲いの居飛車よりも美濃囲いの振り飛車の方が有利に思えるときもあり。これは、戦術で負けたのではなく、囲いの差で負けてるのではと悩んだこともあります。これが対四間飛車戦では、急戦定跡のスキルアップを考えるより、穴熊の戦法のほうがプライオリティが高いと考えた理由でした。

 

結論から言うと、この判断は正しかったと自負しております。
つい先日、私より格上の有段者の方に勝つことができましたが、このときの闘いが四間飛車と居飛車穴熊でした。この時、中盤で私が優位になるまでは、ほぼこれまで語ってきた定跡通りの展開でした。

 

つまり、相手も一手も間違えずに来て、それでも居飛車優勢だったわけです。段どころか、上級の人にも及ばない状態だったので、勝てるかもと思えたあたりからは正直しびれました。

 

途中、うっかりしてしまい飛車に両取りをかけられてしまったのですが、それでも勝ちきることができたので、まともに進むと居飛車の方が相当に有利な形ではなかったのかと振り返って考えました。

 

勝利後も、初めて格上有段者の方に勝てた喜びから、そのときの流れを幾度となく研究して自らの展開を頭にたたき込みました。

 

というわけで、そのときのことや、その他、私が自ら編み出した戦術等をここで幾つかご紹介できればと思っております。

 

第1章・第2章
第3章
第4章
第5章

関連ページ

金澤敏明の「四間飛車破り」「居飛車穴熊編」〔1章・2章〕
金澤敏明の戦術公開。対後手急戦など
金澤敏明の「四間飛車破り」「居飛車穴熊編」〔3章〕
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金澤敏明の居飛車対策(田中流対策)〔4章〕
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金澤敏明の後手△54銀型対抗策〔5章〕
金澤敏明の戦術公開。後手△54銀型に対する対抗策など