田中広重氏の希望を打ち砕いた金澤敏明氏の穴熊

敗北条件を早々に突きつけられたプレッシャーの中で

 

当たり前だが△6一歩で受けたのも手堅い策で、仮に△7二金左だったなら先手も意地になり角を囮に粘って苦しいながらもなんとかなるのではと考えていたが、しっかり底歩を受けられると相手も戦意喪失してしまう。結論、終盤の寄せ合いのシーンで手数計算が露骨に解かり易くなってしまっただけなのだ。

 

最後は他のプロも後手の一手勝ちを爽快に看破していたようで、巷でも良く見かけるような質の相穴熊は一度差がつくと圧勝ペースになって逆転がなかなか難しくなってします。終盤の田中広重氏玉は敗北条件を早々につきつけられていながら、どうすることもできないような手厳しさはあった。

 

こうして結論、金澤敏明氏がおそらく本気の相穴熊を披露して、田中広重氏の希望を打ち砕いた、というよりも蹂躙したというほうが理解しやすい将棋だった。

 

田中広重氏は作戦にも問題があったし、攻略するポイントを少し誤っていたように感じる。
だが、これがまた再戦する際に尾を引くこともないだろう。
田中広重氏が、また金澤敏明氏の穴熊が出た場合にどういう対策を取るのかにも注目したい。

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