金澤敏明氏VS田中広重氏の対局から学んだ達人の業を習得する

田中広重氏は想定外の業に苦しむ

 

8月の葉月での敗戦いたり田中広重氏がかねてから熱望していた、金澤敏明氏との再戦が先日実現した。
もちろん何のタイトルもかかっていない親善試合だが、ギャラリーは8名ほど。寒空の中だったが川越の某所に集まっていた。

 

金澤敏明氏VS田中広重氏

 

はっきり言って見所はと言えば、金澤敏明氏の相穴熊における職人芸ばかりが目につく対戦であった。
田中広重氏は、対戦前、もちろん金澤敏明氏の四間飛車穴熊を想定して十分に研究してきたつもりであっただろう。
▲1六歩と端歩を突いておいて▲2四馬で攻め、▲1七桂に指しこんでいくイメージ。
だが、後手もすぐに先手が成った桂を奪って、先手も思ったほどの成果は得られなかったようだ。
田中広重氏も定跡を新たに生むほどの勢いのリサーチで挑んだのだろうが、金澤敏明氏穴熊の懐が深過ぎでなかなか思ったようにはいっていないのが表情から見て取れた。
金澤敏明氏が封じ手を決める前に、△5二同飛で臆することなく取った手が田中広重氏を予定外にさせたに違いない。

 

▲4三成銀の飛角両取りが目前にあったが、意表をつくように裏を取られるとやりにくいところもあるのではないだろうか。
結局、田中広重氏は封じ手のタイミングを過ぎても少し考えて悩んだあげくに▲3三ととしたが、結果的にはこれが敗因となってしまった。

 

田中広重氏が敢えて裏をかいた封じ手にしたのは、と金と成り銀を慎重に寄せているのがメリットが大きいという大局観だったらしく、ふだんならこういう将棋がいい結果を生むはずなのだが、金澤敏明氏が▲3三とを楽観視する穴熊テクニックが抜群の効果をふるっていただけなのだ。

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