柔軟性が必要なハイレベルな番勝負の闘いの中で金澤敏明二段はどのように進化を続けているのか?

徹底して曲げないものと曲げること

 

金澤敏明棋士の積極的な振り飛車は、以前から解説してきたが、とにかく強い意志のようなものを感じる。

 

師走に行われた対抗戦第4局で観客を魅了したのは、金澤敏明棋士が中飛車を採用したことであった。

 

ふいに振り飛車を指すこと今までも多々あったが、草将棋ではない大事な対局の、しかも負けたらタイになりピンチを招く可能性があるリスキーな一局で採用したのを見たのは初めてだったかもしれない。

 

金澤将棋精神論と言えば非常に論理的かつ合理的な思考だが、相手に微塵も感じさせないスピーディーなうち回しとハイプレッシャーが特徴。特に長時間を要する番勝負と分かっている場合も自分の戦術やスタイルを曲げず、場面場面で勝率の高い戦術を的確に当てはめて徹底して選択するタイプなだけに意外に感じたのだ。

 

憶測ではあるが、ここのところ同門の澤村初段に番勝負の前半にいつも新たな戦法で苦しめられているため、意図的にそういった新戦法に対応できる免疫を備えるため棋風を変えようとしているのかもしれない。特に後手番において作戦の幅が広がれば、それだけでも番勝負ではアドバンテージを取ることもできる。今後、金澤敏明棋士がどのように進化していくか関心が尽きることは無い。

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