飛車香落ちの先手金澤敏明棋士の真の狙い
内藤氏が▲1七桂戦法を受けて立つのであれば違うパターンはあったのだろうか？
これは右四間飛車定跡の際も同じことが考えられた。
端攻めはどうせ実らないと分かっていたのなら、内藤氏のこのときの配置では△3二金は諦めてよいシーンである。飛車香落ちの先手金澤敏明棋士の狙いは左金にあるのだと察するべきである。
しいて挙げれば▲2五桂に跳ねられた場合のみ師が辛い形になるということも気づくべきだ。
▲1二歩を指し▲1一歩成から端を攻めあがるも有効だし▲2八飛から▲1三桂成△同桂▲1四歩で師匠の意標をつき歩切れを狙うも有効だった。
それから△2四歩を指された際には▲1三桂成△同角▲1二歩も十分想定に入れておかねばならない。
これほど容易に端を突破できていれば2枚落ちより難しい展開なのか？
2枚落ちを逸脱したような有段者レベルでは全く指す衝動が沸かないのだろうか。
▲2五桂の場面となっただけで逃げ出したくなるのだそうだ。
金澤敏明棋士がこの戦術を教える理由として▲1七桂戦術は飛車香落ちの場面でだけしか使えないため、平手で有効でもない戦術を教えて何の得があるのかという疑問の念もあったのだが、この界隈の有段者たちの一部からはそれがむしろ飛車香落ちでしか使えない例外を知ることで自由な発想を育てる事にもなるのだと語る。
そもそも飛車香落ちはそれほど大切な攻めではないと語る棋士も中にはいるのだ。
2枚落ちや大駒落ち香落ちは、将棋の根本の考えを養う議題となるのだが、わざわざ見破られやすい弱点を与えてしまうのは4枚落ち以前の物議であろう。
金澤敏明棋士もそんなものは4枚落ち以前と同様平手で使えそうもない端攻めで事足りるのだと分かっているはず。早い段階で後手内藤氏を逸脱させて飛車落ちを指させた方がよっぽど有益な戦術となるのだと師は考えたのだろうか。
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