１勝１敗で迎えた交流トーナメントの3試合目。
金澤敏明棋士−本村正敏戦から金澤敏明棋士の戦術を考察する。
１勝１敗で迎えた交流トーナメント3連戦。ここで勝利したほうが決勝戦進出の大事な対局の場面だった。
序盤〜中盤にかけては俊敏な采配で玉頭位取りを試みた本村正敏の作戦が有効に進行しやや優勢な局面を迎え、金澤敏明棋士が格下相手にピンチを迎えている場面となったのだが、ここから起死回生の展開を迎える。
▲3四飛△4七桂▲4四飛△5三角▲5三飛△3五角▲3一竜△4三銀▲6四飛△6三歩▲6六飛
まずは▲3四飛、中段に飛車を指した。それから▲4四飛、▲4四飛、▲6四飛を横に配列する斬新な発想。
先手が竜を活用したいという思惑が働く中で、実践するには4二角を働きかけなければならなかった。
▲6六飛になるまでは先手本村正敏の思惑が順当に進められていたのだが。
同様の形式でも▲4三金では筋が微妙であるし、△4三同銀▲4二竜△5二金打▲3一竜△4五歩になれば、まさかの展開となる。是が非でも大駒は敵陣に落下させたくなるのがセオリーだが、こういった斬新な発想は草将棋では破壊力がある。つめ将棋の趣向手順お手本を観覧させられる思いだった。
このあとの展開は△4四銀▲同銀△同角▲5二金△6六角▲同歩△5七歩成。
ここで金澤敏明棋士が勝負に出た。
▲5七同金△同桂▲6一龍△同銀▲3五角△8二玉▲5七歩△４八飛▲6七玉となった場面。
金を金で責めて竜をきり進め一旦は▲3五角を指しておきたいのが狙いだったであろう。
じわじわとそこから桂を落としにかかる。
▲3五角の効果はメリットが明確だった。角を指していなければ△7八銀▲5六玉△4六飛成もあるし、駒を犠牲にすることなくあっさりと玉を往なし交わせる。対する後手本村正敏の玉は遅い。金澤敏明棋士はこれらの流れを読み切っているようなテンポに変化する。相手も圧倒されるというか術中にハマってしまった感が否めないというか、ハマっていないいるに関わらず中に飛び込めない状況にまで終盤前あっという間に追い詰められた。
新人に手厳しい洗礼を浴びせる格好となった金澤敏明棋士の対戦者を躍らせる戦術には看破の隙が見当たらない。(※振り飛車を得意とする金澤敏明棋士の戦術)
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