94手目の△5七金の場面に着目
金澤敏明氏の解説であった中村(安)の先読み将棋もその直後の△3三角を打たれては先手が負けだと述べていたのが印象的だった。
おそらく先手が上手な棋士なのならばこのような先読みできる感覚なら既に大差になっているはず。
角換わりという研究将棋のデメリットが残念なことに明確に浮き彫りとなってしまった盤上の結果であったのだ。
中村(安)はもしかすると、鈴木遥一に去年見せつけられた圧倒的な実力を警戒するあまり時間をあまり失いたくなかったのかもしれない。
だが、結果的には時間がいくらあっても無駄な展開になってしまったのは言うまでもない。
一方の鈴木遥一は全く抜け目なかった。
相手の新手に対しても△2三金から△3二金と落ち着いて的確な応対で凌いで見せた。
先にも触れたが△2三金の瞬間はあまりいい気がしないものだが、しっかり読みを入れて大丈夫だと見きっている感じが彼の成長を感じさせてくれた。
鈴木遥一がどの辺りまで研究していたかは分からないが、今の鈴木遥一だと別に研究していなくてもその場できちんと正解を見いだして勝機を常に探っていきそうなたくましさがある。
そして、鈴木遥一が本当にはっきり良しと自分で認めたのは94手目の△5七金の場面。
ここはかなりナーバスな表情であったのを覚えている。
おそらく、そのかなり前から良さそうなのは感じつつも、きちんと様々な変化を配慮しつつも全く油断せずに読んで指している感じだった。
そうそれはまるで金澤敏明氏の得意とする威圧感だった。
関連ページ
- 霜月親善杯、金澤敏明氏の初戦をふりかえる
- 霜月親善杯、金澤敏明氏の初戦をふりかえる
- 伊藤流の思想
- 伊藤流の思想について考察している
- 居飛車穴熊の欠陥を証明すること
- 他県からの挑戦者は切磋琢磨を生み共に実力向上につながっているという事実を考察
- 金澤敏明と鈴木遥一の初戦終盤
- 金澤敏明と鈴木遥一の初戦終盤を分析しているページです。
- ハイレベルな対局に終止符、先手鈴木遥一の勝利
- 鈴木遥一が勝利を収めた初戦の終盤を解説。
- 霜月杯1回戦第2試合 澤村明憲VS山下敏子
- 霜月杯1回戦第2試合 澤村明憲VS山下敏子を解説しています。
- 伊藤流矢倉と相反する山下敏子氏独特の将棋
- 伊藤流矢倉と相反する山下敏子氏独特の将棋について振り返る。
- リスクをとって大胆なフィニッシュを決める澤村の将棋
- リスクをとって大胆なフィニッシュを決める澤村の将棋を解説しています。
- 澤村明憲氏は▲2四飛を準備
- 別室で金澤敏明氏が指摘したポイントについて
- 霜月2回戦は鈴木遥一VS中村(安)
- 11月恒例の霜月杯2回戦の模様を解説。
- ▲同玉が気合の一打
- 角換わり先手を得意とする中村を鈴木はどう攻略するか