金澤敏明氏の得意とする威圧感を鈴木も兼ね備えていた

94手目の△5七金の場面に着目

金澤敏明氏の解説

 

金澤敏明氏の解説であった中村(安)の先読み将棋もその直後の△3三角を打たれては先手が負けだと述べていたのが印象的だった。
おそらく先手が上手な棋士なのならばこのような先読みできる感覚なら既に大差になっているはず。

 

角換わりという研究将棋のデメリットが残念なことに明確に浮き彫りとなってしまった盤上の結果であったのだ。
中村(安)はもしかすると、鈴木遥一に去年見せつけられた圧倒的な実力を警戒するあまり時間をあまり失いたくなかったのかもしれない。
だが、結果的には時間がいくらあっても無駄な展開になってしまったのは言うまでもない。

 

一方の鈴木遥一は全く抜け目なかった。
相手の新手に対しても△2三金から△3二金と落ち着いて的確な応対で凌いで見せた。

 

先にも触れたが△2三金の瞬間はあまりいい気がしないものだが、しっかり読みを入れて大丈夫だと見きっている感じが彼の成長を感じさせてくれた。

 

鈴木遥一がどの辺りまで研究していたかは分からないが、今の鈴木遥一だと別に研究していなくてもその場できちんと正解を見いだして勝機を常に探っていきそうなたくましさがある。

 

そして、鈴木遥一が本当にはっきり良しと自分で認めたのは94手目の△5七金の場面。
ここはかなりナーバスな表情であったのを覚えている。
おそらく、そのかなり前から良さそうなのは感じつつも、きちんと様々な変化を配慮しつつも全く油断せずに読んで指している感じだった。
そうそれはまるで金澤敏明氏の得意とする威圧感だった。

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