別室では山下氏の興味深い解説も・・・。
ミスをひきずる格好で劣勢に立たされた金澤敏明氏。
その後で▲4八金をさげてクールダウンした。
先手鈴木遥一の玉を寄せるのは容易ではない。
むしろ、金澤敏明の穴熊に対しては手駒もかかるし、100%「寄せ」が待っている。
むしろ後手の金澤敏明が煽られて普通なら焦ってしまうようなところである。
ここで、金澤敏明は△6七香成を選んだのだが、これがあまり寄せとしては無効というか効力が無い失敗のように感じた。
別室で実況していた山下氏が解説していたように、△8九龍と桂馬を取っておくことも選択肢としてあったのかもしれない。
その後も同じように穴熊に迫ってきても△2四歩▲1五飛に際して、奪った馬を2五に王手で指せる状況にある。
そこまで進めることができても逆転はさらに険しい道のりなのかもしれないが、この状況下でできることの選択肢の中ではマシなほうではあった。
なお、この状況で山下氏が自分ならば△4一角を指していたと語っていたのも興味深い。
ただ、3二に駒を指してくるのを防いだだけで、防御向きではない角が二枚とも並んでしまううえアタッカー陣営がすかすかに減退してしまう。
若輩の棋士には思いつかない百戦錬磨の発想である。
その後、金澤敏明氏も随分頑張ったが、鈴木遥一がこの勝負を逃げ切り勝利を収めた。
第一局では彼が序盤中盤終盤と隙なく勝利したことで、一気にこの界隈では脚光を浴びることとなった。
さて、対局者の金澤敏明は早朝から険しい表情で闘争心が久しぶりにむき出しの対局姿勢だった。
苦悶しながら先読み思考を存分に発揮させ、まるで指し手を絞り出してくるかのようで優勝にかける意気込みは凄いものを感じた。
しかも、そのエネルギーが終局までずっと続いたのである。
このようなとてつもない集中力を長時間保つことが出来るのが彼の凄いところで、彼意外真似できることではない。
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