竜虎戦1回戦の終盤、後手金澤敏明の容赦ない攻めが酒井を圧倒。

金澤の巧みな攻守に翻弄され自滅していく酒井

 

第34回川越竜虎戦
金澤敏明棋士 対 酒井明初段

 

第34回川越竜虎戦 前編に続き、金澤敏明棋士 対 酒井明初段の終盤を考察していこう。

 

酒井は桂馬を使う戦術を見て歩を伸ばす狙いであっただろうか。

 

△6四歩を差し込んだ時点で角道が止まり攻撃力が落ち、結局最後まで△6五歩を指しこめない状態で残ってしまった。

 

換えて悩んでいたという△7五歩▲同歩△同銀▲7六歩△6四銀の繰り替えはあからさまに本筋という格好で、▲8八玉に帰る手には再び△7五歩の合わせから銀を8四に帰す順を見ている。

 

△9五歩は手前で▲7七桂の6筋が分厚くなり中央が込み入った状態での動きとしては重たくなっていたため、酒井としては薄くなった端に手をつける狙いだったようだ。▲同歩に△同銀と攻めるか上級者がよくやる常套手段のように少し捻って攻めるかは正直に言えばあまり整理できていないようにもみえたが、真相は分からない。

 

その後の展開を要所だけ押さえて考察すると、81手目▲2四歩からの酒井明の戦術はかなりの強硬手段にも思われたが、金澤敏明の継ぎ歩が決まった局面はなかなか見物ではあった。

 

一言で言ってしまえば運がなかったという風に捉えることもできるわけだ。

 

98手目の局面、4将の金澤敏明には攻め筋として△7八歩という手があったため、ここでは△7一歩と受けておく手が濃厚なようで、少し安易に考えすぎたのかもしれない。

 

その後は後手金澤敏明の容赦ない攻めが酒井を圧倒。
接戦ながらも第1局を金澤敏明に奪われてしまった。

 

メモを記す。

 

▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀
▲6八玉△8四歩▲7八銀△3二金▲7七銀△6二銀
▲7八玉△5四歩▲5六歩△4一玉▲7九角△5二金
▲8八玉△3三銀▲7八金△3一角▲5八金△7四歩
▲3六歩△6四角▲4六角△4三金右▲5七銀△7三銀
▲6六歩△3一玉▲6七金右△2二玉▲2五歩△9四歩
▲1六歩△1四歩▲9六歩△8五歩▲3七桂△4二角
▲6八銀右△9三香▲5五歩△同歩▲同角△9二飛
▲4六角△8四銀▲7九玉△6四歩▲8八銀△7五歩
▲同歩△同銀▲7六歩△8四銀▲7七桂△9五歩
▲同歩△9六歩▲5八飛△5四歩▲2八飛△9五香
▲9八歩△7二飛▲8九玉△7五歩▲同歩△同銀
▲7六歩△同銀▲同金△同飛▲5二銀△7二飛
▲4三銀成△同金▲2四歩△同銀▲同角△同歩
▲2五歩△同歩▲同飛△2三歩▲8五飛△8二歩
▲7三歩△同桂▲9五飛△6九銀▲7九金△5八金
▲9一飛成△7八歩▲2九香△2四角打▲同香△同歩
▲2三歩△3三玉▲2二銀△2三玉▲2一龍△7九歩成
▲同銀左△8八香▲同玉△7八金▲同銀△9七歩成
▲同歩△7八銀成▲同玉△6八金▲同玉

 

まで119手で後手金澤敏明の勝ち

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