角換わり先手を得意とする中村を鈴木はどう攻略するか

金澤敏明氏の解説と合わせて鈴木遥一VS中村戦を解説

 

ピックアップして考えると、83手目で▲4四角と打つ予定だったと後日解説していたが、対局直後の感想によると△3三角▲5三角成△6五桂▲5四馬△6七歩成▲3二桂△同玉▲7二龍△4二角打。
手順はかなり長めだがほとんど必然手順と言っても良い。そして後手に然程の意外性もない。

 

鈴木遥一も控えめな表現ながら「後手が少し埋めてきていたので」と自信があったことも明かしている。
ここでも何が中村(安)の想定外のことだったのかが結果としてあまり理解不能だったのだ。

 

この鈴木中村戦が行われたのは夜間。
金澤敏明氏だけ敗戦したため翌日がないということで帰宅せず解説を続けてくれていた。
山下や澤村は19時過ぎで帰宅となった。

 

本線に戻るが、少なくとも新手を出すまで、飛ばすのは理解できなくもない。
だが、その後も不安な中で長考なく手を進めて結果的には封じ手時点では後手の達人的には「将棋が終っている」状況となってしまっていた。

 

つまり、中村(安)は新手が悪手だった上に、時間がまだたっぷりあるのにそのまま安易に手を進めて状況を一段と悪化させてしまう。

 

今年を締めくくる師走杯の制覇も期待が高いだけにこの辺りは大変残念、浅はかにもみえた。

 

84手目の△7七歩成に対しても▲同玉が気合の一打で、先手の入玉も出来たかもしれない。
中村(安)は全く想定していなかったようで、入玉しても駒を失い過ぎるうえに、急に粘りの将棋を指すようで、あまり本意ではなかったと試合後語っていた。
しかし、金澤敏明氏が解説していたとおり、本譜の全く見所のない展開のことを考えれば、何らかの形で勝負手を考えなければいけなかったのだろう。

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