金澤敏明氏が解説するに澤村の攻めは無理に攻めて、悪い場合攻め手を無くすタイプとのこと。

屈指の好カードが実現!2年半ぶり師弟対決

 

霜月杯1回戦第2試合 澤村明憲VS山下敏子

 

金澤敏明氏と肩を並べる実力者澤村が1回戦から歴戦のツワモノと激突した。
強敵であると同時に師の一人でもある山下敏子氏と他県への出稽古帰りでは初めての対戦となった。
対局後聞いてみれば実に2年半ぶりだったと言う。

 

その対局は実に見所満載であった。
別室で解説してくれた金澤敏明の視点と合わせてこの戦局を振り返ってみる。

 

澤村明憲氏の初手▲7六歩に際し、山下敏子氏の二手目は△8四歩。齢60才を過ぎてからの山下敏子の打ち方はどちらかというと△3四歩から一手損角換わりのパターンのほうが多い。それをこの負けられない師弟対決の舞台で先手に対して「どこからでもかかってきなさい」と言わんばかりに△8四歩を活用して挑発する。

 

先手は1矢倉2角換わり3先手中飛車のどれも選択可能で、特に最近では角換わりで後手が厳しいという見解をする棋士が多くて△8四歩を指す棋士は減少傾向にある。

 

こうした状況下で慎重派というかどちらかというと「石橋を叩いて渡る派」の山下敏子氏が△8四歩とやってくるからには、必然的に対策研究があってのことだと金澤敏明氏が別室で語っていた。特に深く研究可能な角換わりに何らしかの根拠がある戦術を温存している可能性が高いのだという。

 

澤村明憲氏が二局とも矢倉で攻めたのには、矢倉を指したくて何か意図があったということのほかには、こうした山下敏子氏の研究を警戒したというところも若干は考えられるらしい。

 

先々月の神無月杯で同じく△8四歩としていた金澤敏明氏の場合は、何が起ころうと△8四歩とするという信念信条のようなものがあったのだが、山下敏子氏については、より明確で無駄打ちのない合理的な戦法があってと思わせるので迫力が垣間見える。
(考えようによっては澤村に対策がなくて指していると言う意味では全然ない。)
このままズルズルと先に進んだ場合に、澤村明憲ファンとしては角換わりを見てみたいような見たくないような気もする。

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