金澤敏明氏や澤村明憲氏ら伊藤流の棋士たちが外の棋士からあおりを受けること

"外からの風"は進化をもたらす

 

霜月親善杯で当然のように基本的には伊藤流の棋士を応援していた。
だが、私以外の周囲の外野はどんな視点で洞察していたか本意はわからない。
なぜなら金澤敏明氏や澤村明憲氏のような実力者たちも今、進化を必要としているタイミングにきており、伊藤流の考え方の偏りや欠点が修正される事があってもよい時期にきているのだ。

 

この居飛車穴熊という戦術自体、実戦的には伊藤流の棋士たちが繰り出す居飛車は勝率が高い。
しかし実は「美意識」には反する部分があると以前金澤氏が語っていたのを思い出した。

 

そのため、特に先入観ももたなく他県の実力者を向かえ、そのパワープレイで仮に居飛車穴熊の欠陥を証明してみせられるなら我々かねてから応援してきたファンにとっても喜ばしい進化の光景なのである。
逆説的ではあるが、棋士たちの経験から発祥する美徳を、よそから来た棋士の新しい息吹が証明してくれるかもしれないのだ。

 

"外からの風"は進化をもたらす。

 

だから、金澤敏明氏や澤村明憲氏ら伊藤流の棋士はあおりを受けることに何の頑固さもみせず素直に受け入れるし、吸収しようという意思も強い。

 

金澤敏明と鈴木遥一の初戦に話は戻るが、局面は進み、金澤敏明氏が伊藤流らしく決断よく踏ん切りをつけて仕掛けはじめた。

 

鈴木遥一を桂損をしながら穴熊の頭を崩す変な言い方だが「伊藤流らしく実戦的な指し方」を選んできた。

 

基本的には桂得のはずの鈴木遥一が有利なはずだった。
ただ、穴熊の頭に▲1四歩と迫っていて鈴木遥一にも主張は垣間見える。

 

わずかに後手の金澤敏明ペースだったがまだまだ難しくて先が長いというのが客観的な評価だった。

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