金澤敏明が教える戦術セミナー第1回のお題は相居飛車の代表的戦法・矢倉戦法

金澤敏明が教える戦術セミナー第1回のお題は・・・

 

金澤敏明をリスペクトする後輩たちの集いで実現した、新春川越将棋戦術セミナー。
初めての試みとなる今回の戦術研究の会は、大学のサークルさながら一般のファンの参加を募って20名ほどでいつもの会館で執り行われた。

 

第1回目のお題は、相居飛車の代表的戦法・矢倉戦法

 

まず金澤敏明は冒頭、「相居飛車の代表的戦法・矢倉戦法は世間では時々、将棋の基本と称されますが、それに拘る事なかれ」と語る。

 

矢倉囲いは、かなり昔からあった戦法で、現代将棋でもよく目にするがその対峙する策は時代と共に進歩しているのだとか。これを理解する事は永遠のテーマなのだと彼は言う。

 

矢倉囲いには、金矢倉・銀矢倉・片矢倉・天野矢倉・菊水矢倉・流れ矢倉・総矢倉などがあり、中でも速度とバランスを重んじる最近の矢倉では、相金矢倉と後手の急戦矢倉が主体になってきている。

 

矢倉模様と、矢倉戦法は若干差異があるため矢倉戦法では、先手・後手が矢倉囲いを目指した戦法のイメージが強いのだと言う。

 

例えば昨年の金澤敏明-井上靖則の対局。
後手の井上靖則は振飛車模様からの疑似矢倉で、先手は5七銀が早かったので4手角といった戦局だった。しかしこれを金澤敏明が井上靖則の棒銀対策を誤ったために防戦になったのだという。

 

後手の井上靖則が主導権を持つために、相矢倉囲いに組まないで急戦を仕掛けるケースはこれまでもよくあったのだそうだが、そのときは袖飛車で、先手金澤敏明の対応が悪く次々に位と歩の交換を許して作戦負けになる場面があったのだそうだ。

 

というように、やや変則な序盤からがっしり組んだ相矢倉です。この形は先後逆の形で現れる。
先手だった金澤敏明が右端を突き越して手待ちでは千日手になり、後手の井上はそれでも良かった筈だが、先手の金澤敏明が菊水矢倉への組み替えを目指したので後手井上靖則が仕掛けた格好になる。

 

この形は、攻守がはっきり分かれやすいのだが後手の攻勢が続き、入玉を許して逆転されてしまった。
1筋をつきあって先後逆の形は、米長対中原戦等で指されていて非常に難しい仕掛けの定跡。

 

これは金澤敏明曰く、相矢倉から雀刺しという、一時の流行形なのだとか。
ただ、最近流行りの矢倉でも雀刺しは、狙いとしてはよくある手。

 

対処できる諸知識は備えておきたいところだと語っていた。